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コラム・レントゲン

第7回:リニアック装置が更新されました

2014年3月24日より放射線治療室の第2リニアックとしてVarian社のClinac iXという最新鋭の機器が導入されました。

以下にこの装置の特徴を紹介したいと思います。

●画像誘導放射線治療(IGRT)

この装置には、OBI(On Board Imager)という位置合わせ専用装置が搭載されています(装置の左右にある出っ張りの部分です)。

従来の装置では、放射線を照射する位置を確認する際には、治療に使用される高エネルギーのX線を使用して患者さんの撮影を行っていました。

このようにして撮影された画像は濃淡が乏しく骨や臓器が見えにくいため、照射位置の確認に時間を要していました。

しかし、OBIは通常のレントゲン写真で使用する低エネルギーのX線を利用することができるため、この位置確認が容易になり、治療時間の短縮につながります。

また、このOBIはCTの撮影も可能であり立体的に内臓の位置確認ができるので、従来行っている定位放射線治療やIMRTをより精密にできるようになります。

このOBIを使用して位置確認をしながら行う放射線治療を画像誘導放射線治療(IGRT)といい、現在最も高精度な放射線治療の方法と位置づけられています。

●強度変調回転照射(VMAT)

当院で今まで行っていた強度変調放射線治療(IMRT)と呼ばれる放射線治療は、複数の方向から装置を静止させた状態で放射線を当てていました。

新たに導入された装置では、このIMRTを装置を回転させながら連続的に放射線を当てながら行うことができるようになりました。

これにより、従来のIMRTと同等以上に病巣に放射線を集中させながら、治療時間を短縮することができるようになります。

治療時間を短縮することにより、時間とともに起こる患者さんの体の動きや体内の内臓の動きの影響を減らすことができます。

このような放射線の照射方法を強度変調回転照射(VMAT)といいます。

●呼吸同期照射法+体幹部定位放射線治療

体幹部定位照射とは、ピンポイントに病巣に放射線を集中させる定位放射線治療のうち肺がんや肝がんなどからだの胴体の部分に対して行われる方法です。

肺や肝臓は呼吸により体内を大きく移動するため、従来の装置ではそこにある病巣に放射線をかける場合は、呼吸で動く範囲をすべて含んだ大きさで放射線をかける必要がありました。

新しい装置では、照射中に呼吸の状態を確認しながら、病巣が決まった位置にある場合だけ放射線を出して照射することができます(このような照射法を呼吸同期照射法といいます)。

これにより、従来よりも放射線をかける範囲を小さくすることができ、病巣以外の正常組織への被ばくを抑えることができるようになります。

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