疾患別 食事のアドバイス
ここでは、約束食事箋の詳しい内容を掲示します。
目次
手術後食
高血圧食
腎臓食
糖尿食
心臓食(高中性脂肪食)
高コレステロール食
潰瘍食
膵臓食
肝臓食
離乳食・幼児食
検査食
適応症
胃・十二指腸の手術後、小腸・大腸の手術後
食事管理の進めかた
胃全摘の場合は術後7〜10日間、胃亜全摘の場合は術後4〜5日間は絶食とし、栄養補給は高カロリー輸液を主体とする。腸切除の場合も術後4〜5日間は絶食。その後、腸の蠕動運動が起これば、経口摂取を開始する。胃部分切除の場合で経過良好であれば、術後4日目頃より経口摂取を開始する。
食事の基本方針
高エネルギー・高たんぱく質・高ビタミン食を基本とする。消化・吸収の良い調理法で食材もやわらかいものを中心に提供する。術後1ヶ月程は1日5〜6回の頻回食とし、1回摂取量を少なくする。また、規則正しく時間をかけてゆっくり食べるようにする。食が進まない方には経腸栄養を併用する。水分の過剰摂取を避けるようにする。
食事の注意点
ダンピング症候群
胃切除後に起こる、低血糖症状。早期は高糖質のものを食べたあとに発症しやすいことから、低糖質、高たんぱく質、中等度の脂質を基本とする。食事量も1回量が多すぎないようにする。後期は適時に間食を摂取する。
人口肛門
下痢しやすい食品として一般的には冷たい飲み物やアイスクリーム類、揚げ物類、アルコール飲料、牛乳、刺身類、香辛料などがあるが、個人差がある。排ガスの出やすい食品類はごぼう、いも類、貝類、大根、豆腐、炭酸飲料、生野菜、ビール、チューインガムなどで、話しながら食べたり、すすりこむように食べたりするのを避けるとよい。便臭を少なくするには果物、パセリ、オレンジジュース、クランベリージュースを摂取するとよい。また、便臭を強くするにら、にんにく、玉葱類、葱類、豆類、繊維の多い野菜類、アスパラ、チーズ、えび、かに類などを避ける。
適応症
一次性高血圧(原疾患が存在しない高血圧)に適応する。
食事管理の進めかた
食塩の制限と共に、減量、アルコールの制限、カリウム・カルシウム・マグネシウムの適正摂取、食物繊維(特に水溶性)の摂取を同時に行う。
食事の基本方針
心臓食を基本とする。漬物類は禁止で、味噌汁などの汁物は1日1杯にする。食塩含有量の多い食品は控えめにする。(表1)調理は下味はつけずになるべく表面味に仕上げ、加工食品を使用しすぎない。酸味、香辛料を利用して味付けを行い、新鮮な食材を用いる。
表1:食塩含有量の多い食品
| 食品名 | 食塩含有量 (g/100g) |
食品名 | 食塩含有量 (g/100g) |
| 冷麦(乾) | 3.0 | たらこ | 6.6 |
| うどん(乾) | 3.0 | あじ干物 | 3.0 |
| 食パン | 1.3 | さつま揚げ | 2.5 |
| 塩さけ | 8.1 | かまぼこ | 2.5 |
| しらす干し | 11.9 | ロースハム | 2.8 |
| いか塩辛 | 11.4 | プロセスチーズ | 2.8 |
| のり佃煮 | 10.2 | すじこ | 9.7 |
| コンソメ | 58.4 |
※栄養食事利用法必携 抜粋
食事の注意点
インスタント食品やカップ麺、調理済みレトルト食品、半調理の冷凍食品は一般的に食塩含有量が多い。成分表示をよくみて選ぶようにする。スナック菓子も避けるか、控えめにする。減塩をうたった食品を上手に活用するとよい。(減塩醤油や減塩ソースなど)
適応症
急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ、糖尿病性腎症、急性腎不全、慢性腎不全、腎盂炎
食事管理の進めかた
急性腎炎
エネルギーは充分に摂取し、たんぱく質は0.5/s/日に制限する。糖質、脂質は適量摂取し、食塩は7g以下とする。乏尿期は、無塩、水分制限(前日尿量+不感蒸泄500ml)、血清カリウムが5.5mEq/l以上の場合、1000r/日以内に制限する。
慢性腎炎
Ccr61ml/分以上で進行していない場合は、食塩制限だけで良い。Ccr60ml/分以下の場合は、食塩制限とたんぱく質制限を行う。水分は乏尿、浮腫がなければ制限しない。血清カリウムが5.5mEq/l以上の場合、1000r/日以内に制限する。尿中リン排泄が500mg/日以上の場合はリンを700〜800r/日に制限する。
ネフローゼ症候群
たんぱく質を0.8g/s/日+1日尿中たんぱく質排泄量gに制限する。食塩は5g/日に制限する。カルシウムはカルシウム製剤などで300〜400mg/日を補給する。
糖尿病性腎症
エネルギーの制限とともに、腎機能の程度を考慮した蛋白制限を行う。エネルギー補給は単純糖質よりも多糖類のでんぷんが多い食品で補う。他は腎臓病食品交換表のとおり。
急性腎不全
体たんぱく質の異化の程度に応じた栄養管理を行う。異化亢進が軽度の場合はエネルギー35〜40kcal/s/日で、たんぱく質は0.5〜0.8g/s/日、食塩は7g/日以下、水分は尿量+不感蒸泄量+腎以外の経路からの喪失量で補う。異化亢進が中等度の場合はエネルギー25〜35kcal/s/日で、たんぱく質は0.8〜1.2g/s/日とする。主は経管栄養なので、アミノ酸を適宜補う。異化亢進が高度の場合は中心静脈栄養で、エネルギー35〜45kcal/s/日で、たんぱく質は1.0〜1.5g/s/日とする。必須脂肪酸を補う必要もある。
慢性腎不全
そのときの腎臓の状態にあわせた食事療法を行う。エネルギーは35kcal/s/日、たんぱく質はCcr70ml/分以下で進行性の場合、0.6〜0.7g/s/日、Ccr50ml/分以上で尿たんぱく質1g/日以下の場合は0.9g/s/日に制限する。水分はネフローゼ症候群合併時やCcr15ml/分以下の場合は尿量+不感蒸泄量に制限する。リン・カリウムは検査値に基づき制限する。
(透析の場合)
エネルギーを適正量摂取し、たんぱく質を血中尿素窒素とリン値から増減させ、食塩を0.15g/s(dry
weight)/日にし、(ただし、残腎尿量100mlにつき0.5g/日を増加)水分を食事以外で15ml/s(dry
weight)/日(残腎尿量分を追加)、リン700r/日、カルシウム600r/日、カリウム1500r/日に制限する。(週3回の場合)
腎盂炎
特別な食事制限はないが、水分を充分に摂取して、利尿の促進をはかることが大切である。腎機能障害を伴っている場合は、慢性腎炎や慢性腎不全に準じた栄養食事療法を併用する。
食事の基本方針
腎臓病食品交換表を用い、基準を決めている。体重1sあたりのたんぱく質必要量を計算してあてはめる。栄養成分の制限をする項目としては、エネルギー、たんぱく質、ナトリウム(塩分)、カリウム、リン、水分、カルシウムである。アミノ酸と必須脂肪酸の不足にも注意する。
食事の注意点
透析療法をしているときに注意する点は、エネルギーを特殊食品かおやつで補い、水分の過剰摂取を避け、カリウム制限では野菜をゆでて調理し、加工食品の使用を禁止するということが挙げられる。
適応症
1型・2型糖尿病
食事管理の進めかた
適正なエネルギーを補給し、たんぱく質、脂質、糖質のバランスをとる。糖質はショ糖、果糖などの単純糖質を控え、穀類やいも類などの複合多糖類を用いる。食物繊維は糖質や脂質の腸管からの吸収を遅延させ、血糖値の上昇を抑制するとともにインスリンを刺激しずらいことから、野菜類1日300gを組み込む。食塩は10g/日以内である。
食事の基本方針
糖尿病食品交換表を基礎とした献立を提供している。適正エネルギーを標準体重から算出し、生活活動強度が「軽い」では標準体重×20〜25kcal、「中等度」では標準体重×25〜30kcal、「重い」では標準体重×30〜35kcalとして、1日のエネルギーを決め、単位配分をする。
食事の注意点
食生活の改善が第一であり、合わせて運動療法も組み込んでいく必要がある。インスリンを補っている場合には、低血糖症状に注意しながら血糖コントロールを続けていく。
適応症
虚血性心疾患、うっ血性心不全
食事管理の進めかた
塩分を重症では3〜5g/日、中等度は5〜7gに制限する。そしてエネルギーを適正量摂り、脂質は動物性脂肪やバターなど、不飽和脂肪酸に富む食品は制限する。
食事の基本方針
高血圧食に準じる。また、心不全の場合には食欲が低下し、低栄養になっていることがあるので、十分なエネルギー量を摂取する。
食事の注意点
減塩と共にアルコールの制限、糖質の制限(単純性糖質)、コーヒーや紅茶などの交感神経の興奮を引き起こすカフェインが入っている飲料を制限する。
適応症
動脈硬化症 (アテローム硬化・中膜硬化・細動脈硬化)
食事管理の進めかた
摂取コレステロール値を200mg〜250rに制限するものと、200mg以下に制限するものに分けている。血清コレステロール値に基づき制限値を決定する。
食事の基本方針
エネルギー、たんぱく質は適量とし、脂質はn-6系のリノール酸は控えめとし、n−3系のα-リノレン酸、EPA、DHAを多く摂取し、n−3/n−6比を高くする。魚介類を肉類より多く摂取するか、半々程度にする。水溶性食物繊維を含む食品を多く摂取する。(ペクチン、グアーガム、オートブランなど)
| α-リノレン酸 | EPA | DHA |
| しそ油 | あんこう(きも) | あんこう(きも) |
| なたね油 | まいわし(丸干し) | ほんまぐろ(脂身) |
| 調合サラダ油 | やつめうなぎ(干し) | やつめうなぎ(干し) |
| くるみ(煎り) | すじこ | さば(缶詰) |
| 調合油 | さば(缶詰) | ぶり |
| 大豆油 | ぶり | すじこ |
| マヨネーズ | さば(塩干し) | さば(塩干し) |
| 油揚げ | まいわし(生) | まだい(生) |
| ほんまぐろ(脂身) | ぶり(生) |
※栄養食事利用法必携 抜粋
食事の注意点
食事療法の効果はすぐは現れないので、生活習慣から改善していく必要がある。高コレステロールの食品の除去、適正な栄養素摂取に心がける。
適応症
急性胃炎、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍
食事管理の進めかた
出血を伴う場合は重湯と牛乳のみ。厳重潰瘍は牛乳を毎食摂り、野菜や芋類は繊維の少ないものに火を通す。魚は白身を使用して、豆腐、鶏卵共に少量。中等度、一般潰瘍食は軟らかいものを中心にし、揚げ物や天ぷらなどは避ける。
食事の基本方針
嘔吐や悪心がある場合には絶食。胃滞留時間の長い食品は避ける。(繊維の多いもの、脂肪の多いものを避ける。)
食事の注意点
欠食、過食をしない。ゆっくりよく噛んで楽しく食べる。
適応症
急性膵炎・慢性膵炎
食事管理の進めかた
脂質が膵臓を刺激するため、油を極力使用しない食事を選択する。味付けは薄味にし、消化のよい調理法にするl。
食事の基本方針
膵臓1度は、流動食に準じる。3度は野菜、果実類、芋類のみのおかずで、10度でたんぱく質の豆腐、魚介類、卵を使用する。15度では油に気をつければ、食材は消化の良いものを選択して調理してよい。
食事の注意点
脂肪の制限の程度を、病状によって順次見直していく。低栄養にならないように注意する。アルコール依存性の場合には、アルコールは禁止とする。
適応症
急性肝炎食・・・急性肝炎、閉塞性黄疸症、脂肪肝
慢性肝炎食・・・急性肝炎回復期、慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌
肝不全食・・・慢性肝不全で肝性脳症を伴う場合
食事管理の進めかた
脂質制限を基本としているが、急性期以外は脂質制限は厳密ではない。エネルギーも過剰にならないよう、活動強度にあったエネルギーとする。
食事の基本方針
肝臓を庇護するため、急性肝炎食では脂質制限を行う。浮腫・腹水のある場合には慢性肝炎食で塩分制限を行う。(3〜7g/日)アミノ酸製剤を使用している場合には、たんぱく質を制限する肝不全食にあてはまる。
食事の注意点
アミノ酸製剤を使用している場合は、たんぱく質を制限する。BCAA製剤の量をみながら食事たんぱく質の制限を変える。
適応症
離乳食初期・・・5〜6ヶ月
離乳食中期・・・7〜8ヶ月
離乳食後期・・・9〜11ヶ月
離乳完了期・・・12ヶ月〜1歳半
食事管理の進めかた
|
区分 |
|
離乳初期 |
離乳中期 |
離乳後期 |
離乳完了期 |
| 年齢 |
|
5〜6ヶ月頃 |
7〜8ヶ月 |
9〜11ヶ月 |
1年頃 |
食事 時間と 内容 |
朝 |
離乳食 |
離乳食 |
離乳食 |
離乳食 |
|
10時 |
お乳(180〜200ml) |
お乳(180〜200ml) |
お乳(180〜200ml) |
果物・牛乳 |
|
|
12時 |
果汁 |
離乳食 |
離乳食お乳(180〜200ml)果汁 |
離乳食 |
|
|
15時 |
お乳(180〜200ml) |
おやつ |
おやつ |
果物・牛乳 |
|
|
18時 |
お乳(180〜200ml) |
お乳(180〜200ml) |
離乳食 |
離乳食 |
|
|
夕 |
お乳(180〜200ml) |
お乳(180〜200ml) |
お乳(180〜200ml) |
|
|
食品群 |
米 |
重湯 |
重湯〜7分粥 |
粥100〜150g |
軟飯を基本にして、おかずを多種類与える。
避ける食品 ・濃い味の物・香辛料・油物・添加物使用の物・消化しにくい物(梨、柿、茸、貝) |
|
芋類 |
マッシュポテト |
やわらか煮(つぶし) |
やわらか煮 |
||
|
果実類 |
果汁(50ml) |
果汁(おろし汁)(50〜100ml) |
薄切り |
||
|
野菜類 |
野菜スープ |
やわらか煮(つぶし) |
やわらか煮 |
||
|
卵 |
卵黄 1/4個 |
卵黄〜全卵 1〜1/2個 |
全卵1/2〜1個 |
||
|
魚類 |
白身魚(すりみ) |
白身魚(ほぐし) |
魚 小1切れ |
||
|
獣鳥肉類 |
うらごし・ペースト |
ペースト・つぶし |
挽肉・そぼろ |
||
|
味噌汁 |
薄味(1/2杯) |
薄味(1杯) |
薄味(1杯) |
||
|
乳製品 |
スキムミルク |
チーズ(粉末) |
チーズ(薄切り) |
||
|
油脂類 |
|
小さじ1 |
小さじ1〜2 |
||
|
※ 各たんぱく質源の量の目安 全卵 50g(1個) 魚・肉 30〜40g(半切) 豆腐 150g(1/2丁) 納豆 40g(半包) きなこ 30g(小さじ6杯) 味噌 50g(大さじ山盛り1杯) 牛乳200ml(1パック) チーズ 25g(角チーズ1/2個) (レバーは6ヶ月から与える。) |
|||||
食事の基本方針
上記の表を参照
食事の注意点
アレルギーのある場合は適宜除去していく。
適応症
低残渣食・・・大腸の検査をするため、残渣を少なくした食事
濃縮試験食・・・腎臓の機能検査に用いる。水分を制限した食事
ヨード制限食・・・甲状腺機能低下症に用いる
口内炎食・・・口腔・食道にしみない食事
注腸検査食・・・腸の検査前の食事
潜血食・・・消化管からの潜血の疑いがあるときの食事
無菌食・・・移植前後の食事。
食事管理の進めかた
それぞれが短期間の食事である
食事の基本方針
オーダーにより、禁止食品などを除去して提供する。
食事の注意点
特になし。検査食は全量摂取が基本である。